【書評BLOG】「存在のすべてを」
- tp278442
- 7月29日
- 読了時間: 2分
「存在のすべてを」塩田武士著
安心して大丈夫
そんな嫌な感情を吹き飛ばす感動とドキドキを与えてくれる作品だった。
作者は元新聞記者、文章が非常にわかり易い 背伸びしなくてもグングン読み進められる 展開もテンポがよく、
前半は主人公が「白い巨搭」的な画壇の被抑圧者として描かれる
日本が壊れる前に描かれた作品ならそれでもいいのだが、
令和は無能な支配層が賄賂合戦にうつつを抜かすほどの余裕はない。コンプラも悪い意味で浸透している。
忖度は今でもはびこっているが、競争は競争として激化している
またヒロインがストーキングされるシーンも、ストーカーを絶対悪と描いてて一面的。 悪の描き方が通俗的な印象を受けた
が、後半の主人公夫婦が警察から逃亡する場面から、一気に感情が籠る
警官モノであることが良い意味に作用し、ドライブしていく⤴⤴
話が進めば進む程、この本のテーマは「愛」が前面にでてきて
愛は、通俗的でも、古くても構わない!
そう思わせてくれる。 エピローグでは、タイトルが「存在の全てを」である意味がしっくりくる。
発売から2年経ち、図書館の倍率もようやく下がってきている。
文學にドストエフスキー的な人間存在の奥深さとかを求めるなら、他をあたって欲しいけど、
愛をテーマにした大変優れたエンタメ小説です。 「本の雑誌」が選ぶ2023年度第1位の看板に偽りはない
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